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今秋叙勲で 瑞宝単光章を受章 須藤光昭氏 [業界短信]

秋の叙勲で瑞宝単光章を受章した京仏師須藤光昭氏は昭和20年に秋田県由利郡に生まれた。
 16歳で叔父を頼り東京に出て来た後、その叔父が檀家総代をつとめるお寺に出入りしていた仏具屋の紹介で京都の仏師佐川定慶師に弟子入りする。佐川氏の工房は東寺のそばにあり、そこから京都洛南高校の夜間部に通いながら仏像彫刻を学び、卒業後は一旦秋田に戻り、今度は東京の錦戸新観師の下での修業を始める。
 錦戸新観師は当時関東一の仏師と言われた人で、川崎大師の大日如来像や浅草寺の仁王像、立正佼正会本部の本尊である釈迦如来立像などが代表的な作品である。錦戸師の下で須藤氏は粘土や石膏を使った原型造りと、そこから大型の仏像を作る「星取」の技術を学ぶ。
 京都に帰り通い始めたのが塗師である小川謙吉師の工房。持ち込まれる仏像などの修理を手がけながら、呂色を含めた塗り仕事、箔押し、彩色の仕事を学ぶ。
 27歳の時に結婚し、独立したのは28歳過ぎ。本門仏立宗の仏像を数多く手がけた時代だ。 
 35歳の時に山科の東野に自宅と工房を持ち、現在の工房は平成9年に完成。工房には常に若いお弟子さんが修業中という活気のある場所となっている。
 平成4年(1992)には伝統工芸士に認定され、平成7年には京都伝統工芸大学校(旧京都伝統工芸専門校)の講師に就任し、現在に至るまで後進の育成指導に当たっている。昨秋は現代の名工として、厚生労働大臣賞を受賞している。
 毎年春四月に開催される京都佛像彫刻展では二年連続して最高位である京都府知事賞を受賞した。
 今年は「十一面観音菩薩像」、昨年は「聖観音菩薩像」での受賞であり、一昨年は「宝珠観音菩薩像」で京都府仏具協同組合賞を受賞している。
 これらの受賞作品の御顔の表情、引き締まった腰のプロポーションなどは須藤光昭氏独自の作風となっており、宝冠や瓔珞といった錺で表現されて来た部分を、木彫で表現することも特徴の一つになっている。
 須藤氏は佐川定慶、錦戸新観といった時代を代表する仏師の下で修業を積み、塗り、箔押し、彩色の仕事も学んだ。現在では複数の師匠に付くということ自体が難しくなっているが、須藤氏の経験は確実に弟子達に伝わって行く。

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須藤光昭氏

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須藤光昭氏の工房工房では京都伝統工芸大学校の生徒実習も受け入れている


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京都府知事賞・2013年受賞の聖観音菩薩像

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京都府知事賞・2014年受賞の十一面観音菩薩像




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