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金沢仏壇の技術・技法の伝承に尽力 山田佛具店(金沢) [仏壇店だより]

金沢市内の山田佛具店は明治時代の創業、初代は慶應年間において漆関係や木版の職人だったと伝えられている。現社長の山田泰造氏は五代目、弟で専務になる幸男氏と共に経営を続けている。
 泰造氏は金沢仏壇商工業協同組合の理事長を務めるかたわら、自ら金沢仏壇の職人であり伝統工芸士である。主に漆、蒔絵を専門にしており、金沢市内の工房で常に製作活動にあたっている。製作の合間に金沢仏壇の技術、技法の研究、伝承に時間を費やす毎日とのこと。金沢市内及び石川県内に残る古い金沢仏壇の発掘も仕事のひとつ。
 石川県は第二次世界大戦において戦災を免れた地域でありそのため古い家屋も多数現存している。そのような家に江戸時代や戦前につくられた仏壇が時折あり、山田氏が直接、その家庭に訪問し写真撮影をする。使用しているのは高級デジタルカメラでCDーROMに保存している。戦前において仏壇は全て受注生産であり、彫刻、蒔絵などかなり手のこんだものが多く贅沢な造りに目を奪われるという。
 山田社長は昨年、古い技法と現在の技法を融合した作品も手がけ、東京で開催される伝統的工芸品の展示会に出品した。それ以外にも現代人のニーズにあわせた上置サイズ、壁掛けサイズの仏壇も手がけている。金沢市内もマンションや新しい住宅が増えているが、洋風の仏壇を求めるユーザーは殆どいないとのこと。信仰心の篤い地域である。
 金沢市内は人口が約四十万人であるが仏壇の所有率は約八十%を越えている。来店されるユーザーの多くはお東さんであり、仏壇に詳しい。もちろん受注においても彫刻、金具、蒔絵のデザインに至るまでオーダーされる方もいる。パソコンでユーザーの求めるお仏壇の合成写真をつくり、受注製作に入ることもある。  
 同店は仏壇の受注製作はもとより洗濯、修理に追われる毎日、従って古い仏壇の調査も行えるし、ひとつひとつの仕事が財産になっていく。後継者の育成にも積極的で県立工業高校工芸科の出身者などから人材を集めている。
◎山田佛具店 金沢市安江町十三ー三二 TEL〇七六(二二一)二三〇六
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宗教工芸新聞2002年10月号掲載
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