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「木魚は音が命」 加藤木魚製造所(一宮市) [仏壇店だより]

「木魚は音が命です。常に最高の音色を求めて木魚を製作しています」と語るのは加藤木魚製造所の加藤寿和氏(三十九歳)、工房は一宮市内にあり、父である春男氏(六十八歳)とともに製作の日々を送る。
 工房に足を踏み入れると、乾いた木の匂いが漂う。取材に訪れた時、寿和氏と春男氏は木魚製作に追われていた。工房内には完成した木魚が置かれており、いまや遅しと出荷を待つ。
 寿和氏はこの業界では貴重な若手の一人。この仕事に就く前はサラリーマンであった。東京での生活は五年に及んだが、やがて家業を継ぐことになった。現在は修行中でまだまだ覚える事は多いですねと語る。
 初代の松男氏は明治四十年生まれ。苦労しながら加藤木魚製造所の基盤を築き、平成八年に満八十九歳で亡くなるまで現役であった。その気骨さはとても頑固であり、生涯職人であった。二代目の春男氏も名工の一人。製作に使うノミも自分でつくるという。 
 かつて愛知県内では最盛期(昭和十年頃)に木魚製造の工房が数多くあったが、時代の流れとともに減少の一途をたどる。海外製品の増加に伴い、国産の木魚は稀少なものになっているが、あえて国産の木魚の良さをPRしたいと寿和氏は語る。「品質、耐久性、音色などあらゆる点でバランスが良く、ぜひ多くの人に知ってもらいたい」と強調する。ホームページを開設し、情報発信にもつとめている。その内容を紹介すると、▽加藤木魚製造所について ▽木魚の色々 ▽製造工程 ▽職人としてのこだわり ▽職人の道具 ▽木魚の修理及び頒布について等。職人としてのこだわりの中では職人減少の波、海外製品の流入、大量生産品の問題点に触れ、現在のシビアな状況も説明されている。
 最近ではテレビ、新聞の取材が増え、一般に紹介されることが多くなってきたと父の春男氏は語る。一人でも多くの人が木魚に関心を持ってくれたらと期待をふくらませる。
◎加藤木魚製造所 愛知県一宮市三ツ井二ー二四ー十九 TEL〇五八六(七七)〇二七七
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宗教工芸新聞2004年11月号掲載
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